ご意見・ご感想・ご質問・苦情・その他萬、こちらにお願い申し上げます。
みなさま、24〜26日はお疲れさまでした。
私も、26日にコミケット準備会主催の著作権シンポジウムのチケットを買いに出かけました。2月6日(日)東京ビックサイト『表現と著作権を考える』という題目だそうです。残念ながら、完全前売り券制だそうで、コミケでチケットを手に入れられなかった方々は入場できないそうです。これについては、一人でも多くの方に、『何が問題とされているのか』を知っていただきたいと考えますので、細かいレポートをお送りしたいと考えています。まあ、たまには院生らしいことをしなきゃいけませんしね。
ついでに、著作権関連の同人誌も購入です。まだ、全然読んでなかったりしますが(苦笑)。
それと、White氏にメールで駄々こねてゲーム論文『GameDeep』を販売していただきました。で、早速の感想です(White氏は、告知通り蛍光オレンジバカ一代でした)。
『全方位型藝夢真剣考察誌GameDeep Vol.1』とか思ったのですが、近いうちにネットにアップするそうで、それまでは感想は控えさせていただきます。
ところで、今現在、友人の強い薦めに従い、『剣客商売』なる小説を読んでおります。ご存じ岩波正太郎の代表作です。今現在、テレビでも放送中だったと思います。
岩波正太郎『剣客商売(9)待ち伏せ』新潮文庫…良いのです。面白い、のではなく、心地よい作品です。
ここにうまい日本酒があったとしましょう。…とまあ、わからない人にはまったくもってさっぱりな表現ですが、これが私の感想です。
燗につけて良し、冷やのままでももちろんいけるお酒だとします。
杯に酒をつぎます。液体が光を受けてぬめりのある反射をします。期待に胸が膨らみます。
では…と、注いでくれた人に一言ことばを掛け、少しだけ口に含みます。
その瞬間、はっとします。口に含んだ酒の味に驚くのです。
叫びそうになるのを何とか押さえ、きもちを静めます。口に入れた酒をころりころりと、転がしてもみます。最後に、こくりと、喉にとおします。
思わず笑みがこぼれます。名残を惜しむように、舌で上唇をなめます。
少し間を空けて、ぽそりとつぶやきます。
「うまい…」
すばらしいのは、その演出です。作品の構造自体は、どれも極めて単純、しかも、今明かされる新事実のオンパレードで、なんだか主人公と事件が無理矢理因縁づけられているような気もします。これが、下手な作家さんならば、それこそ目もあてられないほどのひどい出来になるのでしょうが、さすが戦後を代表する小説家です。個人的にはいけていない構造を、全てうまく演出でカバーしています。とにかく緩急をつけた表現がうまいのです。無意味に長文化する最近の作家さんには是非とも見習っていただきたい技術です(とか言っておきながら、私の「人魚姫」は四万字越えているし…)。
長くなるので引用は避けますが、お酒を飲み交わすにしても、御飯を食べるにしても、その表現がとても心地よい。作品の構造としては要求されていない演出であっても、それを見事に、作品の「雰囲気」に仕立て上げているのです。こういうシーンの一つ一つが、もしなければ、きっと作品は無味乾燥のつまらないものになったのでしょう。
ということで、岩波正太郎作品は追いかけることにします。こういう気持ちになったのは、芥川龍之介以来です。
(追記)ということで、『ONE』です。
なお、公平の観点から言えば、岩波正太郎作品にも欠点があります。
一つは、マンネリであることです。まあ、これは致し方がないとして…それ以上に、何だかなあと思わせたことが…
一つは、独り言が気にくわないことです。会話シーンではないのに、『「〜」(だ、)そうである。』というような表現が多いのです。これが、文章の中にとけ込むと、会話しているのか、回想の中での一シーンなのか、ただの独り言なのか、よく解らなくなります。個人的には、『〜と、小兵衛はよく言ったものである』とか『〜と、小兵衛は思った』とかという表現の方がスマートだと思うのですがねえ。その方がわかりやすいし、何よりも、私にとっては好みです。無音の美学だと思うのですが、どうなんでしょう?
一つは、回想シーンがやたらに多く、しかもそれが幾分か唐突であることです。おかげで、文章の前後を読み直すこと数度。分かりにくいったらありゃしません。これにさらに、回想シーンで「」付きの会話が行われた日には、もう、何がなんだかという気分です。
え?それは、単に自分に読解力が足りないだけだって?…それだけじゃあないと、思いたいなあ…。
そういえば、先日、『ONE』のページに記事を投稿しました。雪駄氏の甘言に従い、私も参加しました。お暇でしたら、お読みください。
(12/28追記)
『ONE』のページって何処やねんというつっこみを自分にしてみました。
ごめんなさい、正確には、ONE〜輝く季節へ〜私的応援ページです。
White氏も、雪駄氏も、ゲーム論文頑張ってくださいね。買いに行くつもりですから(ニヤリ)。
十二月十一日
忙しい、忙しい。
師走は忙しいと言いますが、なにやら本当に自転車操業な毎日のtatuyaです。
とりあえず、今日の更新は『ONE』の箱に一つです。
まあ、忙しい中でもしっかりと遊んでいるわけで、先日終わった、『倫敦精霊探偵団』の感想をまずは一つ。
『倫敦精霊探偵団』バンダイ19世紀、万博開催で盛り上がる倫敦を舞台に、少年探偵たちが怪人相手に丁々発止の大活躍、というお話です。話自体はかなりスタンダード、悪く言えばお約束です。お約束ですが…面白いです!!何が良いって、雰囲気がよいのです。プレイして、倫敦をかけずり回って、情報を収集して、思うのです。
「ああ、俺って、倫敦の街にいるんだなあ」街に生きる、街が活きている、そんな感想を抱くのです。とにかく、倫敦の街をかけずり回るだけでも楽しいです。こういうのを、共同幻想というのでしょうか。ただのヴァチャルリアリティーなどと比べられないほど、街にいるという一体感が感じられます。こういう感覚は、やはり、自分からアクションを起こして作品世界に入り込む、ゲームという表現形態でないと成し遂げられない現象です。こういうゲームと出会うと、やはり、ゲームは止められません。いや、良い作品をプレイさせていただけました。
15時間もあれば、十分に終わりますし(なれれば、8時間でも可能でしょう)、是非一度、遊んでみてください。
ちなみに、不満もあります。
まず、よく言われることですが、セーブ・ロードが、異様に時間がかかることです。
そして、何よりも、何処が『精霊』なのか、さっぱりと言うことです。というより、ヴァージル、あんた何でここにいるの?って感じです。友人曰く、恐らく企画段階で何らかのトラブルがあったのではないかとのことですが…さて?
確かに、あれだけセンスの良い話をかけるのですから、シナリオライターさんも、ここで、『精霊』という構造を入れて作品世界を破壊するなんて、へたなまねはしないと思いますが………何があったのでしょう。気になります。
できれば、『倫敦少年探偵団』というタイトルで出して貰いたかったです。
主人公の名前は、「リアルファイト」にしました。N◎VAのマイキャラの名前です(N◎VAでは女性キャラですが)。結構おてんば悪ガキです。
後は、更科氏の『Kanon』論評(『カラフルピュアガール十二月号』(ビフロス)の「N.C.P」「Kanon〜残された者のために祈りを」)について思うことがあったので、ちょいと、レヴィ・ストロース(文化人類学者)の構造主義の勉強をしていました。とはいえ、いきなり『悲しき南回帰線』なんてたいそうな本に手を出す度胸もなく、講談社現代新書の『はじめての構造主義』で済ませていますが…。まあ、もう少し資料をあさるつもりです。自分の勉強にもなりますしね(ううん、院生の癖して、レヴィ・ストロールの構造主義も知らないのか…まあ、概念ぐらい知っていますが…ね)。
橋爪大三郎『はじめての構造主義』講談社現代新書これは、強くおすすめします。二時間も荒ればさっと読み終えるところが魅力です。そのくせ、とてもわかりやすいです。初めて構造主義に触れる人はかなりドキドキして読めるでしょう。知的冒険とは、こういう事を言うのだなあと思わせる一冊です。
ちなみに、私が立脚するのは、ロシアの民話学者ウラジーミル・プロップの構造主義です。その考え方はレヴィ・ストロースと『ほぼ』同じですけれど、少し違うようで。更にここで言語学者フェルディナン・ド・ソシールの構造主義や、建設や美術の世界で起こったモダニズムの流れとポストモダン、現在の人文科学、社会科学の主流といわれるポスト構造主義まで含めると…もう、何がなんだかわかりません。読者を混乱させる意図で言えば、フロイトの「精神分析」とマルクスの「上部構造・下部構造」も「構造」に着目したという意味で、ここら辺を議論するに当たってはずせない思想でしょう。
ってなわけで、できれば年明けまでに、自分の概念整理も含めて、「構造主義」にまつわる話を一本と、更科氏の論評に対する感想を一本アップする予定です。
でも、その前に、『ブレイド・オブ・アルカナ』のシナリオを一本アップしたいですね(なにせ、本業はこちらですから)。シナリオタイトルは、「人魚姫」。もちろん、原作はアンデルセン童話集の「人魚姫」です。
そうだ!アンデルセンといえば、雪駄氏の「『ONE』=「雪の女王」」説にもコメントが必要です。現在、分析を進めていますので、もうしばらくお待ちください。
十一月二十三日
まず、「猿婿」の誤植などを訂正。
続けて、先日読んだ本について、少し簡単なコメントを仕上げました(まあ、コメント自体はずいぶんと前に書いたものですが)。
タイトルぽん。
川邊一外『ゲームシナリオ作法』新紀元社「コンピュータゲームの作成にかかわるすべての人に読んで欲しい一冊」「ゲームプランナー必携」とは、帯のコメントですが…ねえ。詳しくは、「映画はゲーム(CRPG)と似ていない」をご覧ください。
ゲームで思い出したのですが、White氏は山北篤氏をご存じでしょうか?山北氏の論考はTRPG限定ですが、ゲームと遊技の関係について面白い指摘をしています。ゲーム論文の御参考と思いご紹介いたします。
最後に、『Kanon』のゲーム小説を、無理矢理時間を作って一時間で読破。
清水マリコ『Kanon〜雪の少女〜』パラダイム…まあ、こんな所でしょうか。ゲーム小説の宿命、原作を知らない人にはまったく意味不明という点は、相変わらずでした。あと、無理矢理話を圧縮したためか、全体的に窮屈な印象があります。タイムスケジュールや編集からの締め付けなどを考えると、当然の結果であって、作者個人を責められるものではないのですが。うまく話をまとめようと、努力している跡が見られるあたりに作者の苦労の後が見られます(それこそ、涙ぐましいほどの)。
といっても、書いてあることは過去の回想。
とある掲示板で頂いた宿題【99年10月01日:00時04分52秒】を、一ヶ月以上かけてようやくやり遂げました(トップはこちら)。すべて私の筆無精がいけません(まあ、忙しかったのも、事実です)。
そうそう、そういえば『俺の屍を越えていけ』も、ようやくクリアできました。以下は、その簡単なレビューです。
アルファ・システム『俺の屍を越えていけ』ソニー・エンターテイメントとか思ったのですが…めんどくさいのでパス。
ただ、敢えて言わせていただけば、代替わりの時はいつも、あの、CRPGをはじめたときの、弱さ故のドキドキ感を楽しめます。CRPGの問題点の一つって、最後の方で冗長になる雑魚戦闘ですよね(時にボス戦闘も)。そこを、代替わりというシステムによってうまく処理していました。
あと、感心したのは、難易度調節。
というより、逆に、何故今までそのようなものがなかったのか、そちらの方が疑問です。私だって、結構前から思いついていたのに。それとも、システム調節すらめんどくさがったのでしょうか?だとしたら、ゲーム業界の病理は、相当根深いものとなるのでしょう。
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