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[個人、体術、体技:難易度3]で羽根を取り戻せば、お繕は口の中でごにょごにょとお礼を言います。
お繕「あ…、ありがとう」
■ 破裂音を聴きつけた上で、[個人、兵法、知力:難易度6]に成功すれば、成功したPCは、それが「種子島」が出した音であることに、気が付きます。
PCたちがこの危機を切り抜けるためには力仕事[パーティー、体力:難易度3][個人、体術、体技:難易度3]などを成功させる必要があります。
これは足軽にしてみれば、ちょっとした悪戯にすぎません。
ざああ………、という川の調べ、風に舞う赤い紅葉…。シーンはここで切れます。
【コラム】「種子島」について時は天文12年(1543年)。種子島時尭(1528-1579)は、種子島の最南端、門倉岬に漂着したポルトガル商人より、鉄砲を購入しました。これを分析し、刀鍛冶に模倣・改良させたのが、いわゆる「種子島銃」。鉄砲の伝来です。
「種子島」は、当時、「鉄砲」と名付けられ、刀剣中心だった戦国時代の戦に大変革をもたらしました。天正3年(1575年)の長篠の合戦では、鉄砲3000挺を用いて三交替射撃方式を編みだした織田軍が最強の騎馬軍団を誇った武田軍を壊滅させたのです。
初期の鉄砲は、最大射程にして700m、有効射程は100m程度と推定されています。装填方法は、弾丸を銃口から装填する先込め方式。着火方法も、火縄による着火方式であったため、次弾発射までに時間がかかり、1挺の鉄砲での射撃は、2分に1発程度であったそうです。火縄による着火式、ということで、雨や風には弱そうですが、そんなことはなく、嵐の中でも、平気で撃てたようです。
お繕が手洗いに出かけ暫くしたところで、PCたちに知覚判定[パーティー、霊感:難易度0]をさせてください。PCたちが殺気を感じたところで、手洗いに行ったお繕の悲鳴が聞こえます。そこに山賊が2〜4人襲いかかってきます。手洗いに行ったお繕は山賊1人にさらわれかけています。
2〜4人の方は、半分が太郎を人質に取りに、残りの半分が羽根を奪いに来ます。羽根を奪おうとした山賊は叫びます。
山賊「ひゃっほう!これで俺たちも億万長者だ!」
■ 山賊たち
分限 なし
攻勢値=6
戦闘力=5
生命力=10
抵抗値=5/8
攻撃回数 脇差1
ダメージ=2D6
術判定値 −
特殊能力 なし
戦闘自体は、あっさりと済ませてください。山賊たちは、金のなる木を目の前に理性を失っています。GMは、山賊たちを愚かに振る舞わせてもかまいません。
なお、PCがよほど気をつけないと、お繕は返り血を浴びてしまい、茫然自失に陥るでしょう。
■ PCが山賊を生け捕りにし、尋問しようとするならば、足軽がその山賊を撃ち殺したことにしても、良いでしょう。その時は、高台から撃ってきたこととなります。足軽を追いかけようにも、見つけた頃には、ゆうに200mは離れており、追跡は不可能です。
尋問に成功すれば、頭領(足軽のことです)が何かすごい武具(種子島のことです)を持っていること、反物を織る鶴(お鶴のことです)をとらえるために“羽根”と娘(お繕のことです)を狙っていることを、話します。
鶴のことをお繕に聴かれると、話はちょっとややこしくなります。自分の母親のことを、金づる呼ばわりされているのです。聞いてて気分の良いものではありません。しかも、お繕は改めて、自分の母親が鶴であることを、自覚します。お繕でなくとも、辺り構わず当たり散らしてしまうのが、人情というものでしょう。
戦闘が終わると、お繕は怒鳴り散らします。
お繕「ちょっと。…いったい、何なのよ、これ!」「(特に、返り血をお繕が浴びてしまったとき、お繕はPCに対して生理的に嫌悪感を抱きます)近寄らないで!この人殺し!」「どうして!私はただ、お母さんに会いにいくだけなのに!どうしてこんな目に会わなきゃ行けないの!」
このシーンのお繕の心情は、解り難いかもしれません。
思うに、お繕は、お母さんに会いに行くのに、何故ここまで苦労しなければならないのか、その意味するところが解らず、とまどっているのでしょう。
■ 展開によっては、一通り怒鳴り散らしたところで、お繕は本音をつぶやきます。
お繕「…ねえ、何でお母さん出てっちゃったのかなあ」
結論から言えば、お鶴が家を出ていったことに理由などありません。出ていくしかなかったから、出ていった。それだけです。敢えて理由を付ければ、周りが変わっただけです。問題はむしろ、出ていったから、どうするか、です。PCは、お繕に、「では、どうするか」考えさせる必要があるでしょう。
PCたちが何か行動に移す前に、足軽は手を引いて、この場面から退場します。
ぱちり。薪がはぜる音。ざああ。雨が降る音。一行は洞窟で雨宿りしている。焚き火を囲んで、雨で冷え切った体を温めている最中だ。一行の影が焚き火の灯りに照らされて、洞窟の壁に長く伸びている。
始めのうちは、雫を払ったり、着替えたり、温かいお茶を入れたり、PCたち一行はおおわらわでしょう。たわいのない会話をしてください。暫くして落ちつくと、子供たちは問い掛けます。何故、旅をしているのか、と。母は、家族はどうしたのか、と。
大切な場面です。ゆっくりと時が流れる中、PCたちに昔話をさせてください。
■ ここまでにPCと一定の信頼関係を築いていれば、お繕は立ち上がって言います。
お繕「今日はね、あたしがご飯作ってあげる。ねえ、材料なにが残ってるの」「あ、何々さん、手伝ってくれる?」
交渉が決裂すれば(まさか、とは思いますが、PCたちは交渉を受け入れないでしょうね?)、隠れていた足軽がPCの一人に種子島を撃ち放ちます。足軽は、100m先の一本杉の上に、陣取っています。特に足軽に注意しておく、と言う宣言がない限り、奇襲扱いとなります。雨の中ですので、種子島の命中判定は[難易度:4]です。PCたちにとって、天佑の使い時でしょう。戦闘の幕開けです。
山賊たちは、5〜10人。そこいらからあぶれてきた農民たちのなれの果てですから、そんな組織だった戦い方はできません。PCたちが術を駆使すれば、戦力差は十分逆転できるでしょう。また、足場は、雨やら地形やらで、足場が悪く[難易度:2]、森の中に入れば、視界も良くありません[難易度:2]。これら悪条件をうまく使えば、さらに、戦いを有利に進められるはずです。
通常の戦闘と異なり、今回は、戦場を広めに確保してあります。ハイライトシーンのように2〜3ラウンド単位で散発的に小戦闘が起こり、後は、敵味方の移動に費やされます(6ラウンド=1分)。GMは、小気味良いカット進行を心がけてください。
PCが森に分け入って(つまり、種子島で狙いようがなくなれば)一本杉を目指してくるならば、足軽は、一本杉からおりて、腰の脇差しで、PCたちを迎え撃ちます。
■足軽
分限 武芸者 攻勢値=8* 戦闘力=10 生命力=20 抵抗値=7/10 攻撃回数 脇差1 種子島1 ダメージ=2D6 4D6 術判定値 − 特殊能力 なし | ■山賊たち
分限 なし 攻勢値=6 戦闘力=5 生命力=10 抵抗値=5/8 攻撃回数 脇差1 ダメージ=2D6 術判定値 −
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山賊たちを追い払ったところで、洞窟の方からガサリという音が聞こえます。振り向くと、そこにはお繕が立っています。
お繕「また、殺しちゃったの?」「…なんで、この人たち、お母さんに会いに行くのを邪魔するんだろう…」
弱まっていた雨足が、再び強まります。積もった紅葉は、泥水でその鮮やかな色彩を失っています。
■ PCたちが戦闘中、子供たちに注意を払っていないならば、足軽が死亡する前に、苦し紛れにお繕を撃ってもよいでしょう。PCたちがお繕を庇おうとしないならば、太郎が身を挺します。太郎は一言二言、お繕に言い残して死亡します(なんと言ったかは、PCたちには聞こえません)。
こうなると、お繕を立ち直らすのには、困難を極めます。このままお鶴に会ってよいものか、悩むでしょう。PCたちが「ここまできた意味」などを諭してあげない限り、お繕は足がすくんで動けません。シーン12を参考にしてください。ここでお繕の葛藤・躊躇を表現した上で、うまくそれをPCたちが解消すれば、次のシーン12はカットしてください。
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