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≪運動≫判定などで羽根を取り戻せば、お繕は口の中でごにょごにょとお礼を言います。
お繕「あ…、ありがとう」
PCたちがこの危機を切り抜けるためには、≪運動≫判定などを成功させる必要があります。
これは銃槍使いにしてみれば、ちょっとした悪戯にすぎません。
ざああ………、という川の調べ、風に舞う赤い紅葉…。シーンはここで切れます。
お繕が手洗いに出かけ暫くしたところで、PCたちに殺気判定をさせてください。PCたちが殺気を感じたところで、手洗いに行ったお繕の悲鳴が聞こえます。そこに山賊が2〜4人襲いかかってきます。手洗いに行ったお繕は山賊1人にさらわれかけています。
2〜4人の方は、半分が太郎を人質に取りに、残りの半分が羽根を奪いに来ます。羽根を奪おうとした山賊は叫びます。
山賊「ひゃっほう!これで俺たちも億万長者だ!」
戦闘自体は、あっさりと済ませてください。山賊たちは、金のなる木を目の前に理性を失っています。GMは、山賊たちを愚かに振る舞わせてもかまいません。
なお、PCがよほど気をつけないと、お繕は返り血を浴びてしまい、茫然自失に陥るでしょう。
■ PCが山賊を生け捕りにし、尋問しようとするならば、銃槍使いがその山賊を撃ち殺したことにしても、良いでしょう。その時は、高台から撃ってきたこととなります。銃槍使いを追いかけようにも、見つけた頃には、ゆうに500mは離れており、追跡は不可能です。
尋問に成功すれば、銃槍使いについて、簡単な話が聞けるでしょう。
また、反物を織る鶴(お鶴のことです)をとらえるために“羽根”と娘(お繕のことです)を狙っていることを聞けます。
鶴のことをお繕に聴かれると、話はちょっとややこしくなります。自分の母親のことを、金づる呼ばわりされているのです。聞いてて気分の良いものではありません。しかも、お繕は改めて、自分の母親が鶴であることを、自覚します。お繕でなくとも、辺り構わず当たり散らしてしまうのが、人情というものでしょう。
戦闘が終わると、お繕は怒鳴り散らします。
お繕「ちょっと。…いったい、何なのよ、これ!」「(特に、返り血をお繕が浴びてしまったとき、お繕はPCに対して生理的に嫌悪感を抱きます)近寄らないで!この人殺し!」「どうして!私はただ、お母さんに会いにいくだけなのに!どうしてこんな目に会わなきゃ行けないの!」
このシーンのお繕の心情は、解り難いかもしれません。
思うに、お繕は、お母さんに会いに行くのに、何故ここまで苦労しなければならないのか、その意味するところが解らず、とまどっているのでしょう。
■ 展開によっては、一通り怒鳴り散らしたところで、お繕は本音をつぶやきます。
お繕「…ねえ、何でお母さん出てっちゃったのかなあ」
結論から言えば、お鶴が家を出ていったことに理由などありません。出ていくしかなかったから、出ていった。それだけです。敢えて理由を付ければ、周りが変わっただけです。問題はむしろ、出ていったから、どうするか、です。PCは、お繕に、「では、どうするか」考えさせる必要があるでしょう。
PCたちが何か行動に移す前に、銃槍使いは手を引いて、この場面から退場します。
ぱちり。薪がはぜる音。ざああ。雨が降る音。一行は洞窟で雨宿りしている。焚き火を囲んで、雨で冷え切った体を温めている最中だ。一行の影が焚き火の灯りに照らされて、洞窟の壁に長く伸びている。
始めのうちは、雫を払ったり、着替えたり、温かいお茶を入れたり、PCたち一行はおおわらわでしょう。たわいのない会話をしてください。暫くして落ちつくと、子供たちは問い掛けます。何故、旅をしているのか、と。母は、家族はどうしたのか、と。
大切な場面です。ゆっくりと時が流れる中、PCたちに昔話をさせてください。
■ ここまでにPCと一定の信頼関係を築いていれば、お繕は立ち上がって言います。
お繕「今日はね、あたしがご飯作ってあげる。ねえ、材料なにが残ってるの」「あ、何々さん、手伝ってくれる?」
交渉が決裂すれば、隠れていた銃槍使いがPCたちに銃槍を撃ち放ちます。不意打ち判定をしてください。戦闘の幕開けです。PCたちの人数が多ければ、サムライやヨロイ狩りなどのアーキタイプを何人か追加してください。PCたちと比べて、能力値が+3、技能が1段階上、ぐらいがスリリングな戦闘を演出できます。
銃槍使いを討てば、残りの山賊どもは、士気を失って遁走します。
山賊たちを追い払ったところで、洞窟の方からガサリという音が聞こえます。振り向くと、そこにはお繕が立っています。
お繕「また、殺しちゃったの?」「…なんで、この人たち、お母さんに会いに行くのを邪魔するんだろう…」
弱まっていた雨足が、再び強まります。積もった紅葉は、泥水でその鮮やかな色彩を失っています。
■ PCたちが戦闘中、子供たちに注意を払っていないならば、銃槍使いが死亡する前に、苦し紛れにお繕を撃ってもよいでしょう。PCたちがお繕を庇おうとしないならば、太郎が身を挺します。太郎は一言二言、お繕に言い残して死亡します(なんと言ったかは、PCたちには聞こえません)。
こうなると、お繕を立ち直らすのには、困難を極めます。このままお鶴に会ってよいものか、悩むでしょう。PCたちが「ここまできた意味」などを諭してあげない限り、お繕は足がすくんで動けません。シーン12を参考にしてください。ここでお繕の葛藤・躊躇を表現した上で、うまくそれをPCたちが解消すれば、次のシーン12はカットしてください。
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