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■ お繕を追いかけると、一人涙を拭っている彼女を見つけます。
お繕「何よ!」「泣いてなんかいないわ!」
そこで子供たちが自己紹介をします。
勝気そうな少女が姉のお繕、元気いっぱいな少年が弟の太郎です。お繕は先程の中庭で見かけた少女です。お繕は、ふん!とした顔でPCたちを一瞥します。太郎はそんなお繕を見て、困った顔をしています。
お繕「お繕よ。とにかく、よろしく」
太郎「太郎です」
■ PCたちが、ご主人に、お鶴を連れて帰らなくて良いのかと聞けば、以下のように答えます。
ご主人「いえ、私は良いのです。今更、女房に合わす顔はございません。ただ、お繕が不憫でならないのです。私は女房が残した反物を元手に、一財産築きました。お繕に何一つ不自由な思いをさせたことはございません。されど、お繕は、本当の母の顔を見たことがないのです。それだけが、心残りでございます」
■ PCたちが、母親にあってどうすると聞けば、太郎が目をきらきらさせながら答えます。
太郎「一度、ねえさまのかあさまにあってみたいんです!」
お繕は、そんな太郎を、複雑な表情で見ています。
お繕「別に…私は、太郎が会いたいって言うから、ついてくだけだし…」
当然、うそですね。
■ PCたちが、子供を連れていくのは危険であると言えば、お繕はかっとなって答えます。
お繕「そんなこと!あなたたちの知ったことではないでしょう!あなたたちへの依頼は、私と太郎の護衛なんだから、黙って護衛していれば良いのよ!」
■ PCたちが、どうやってお鶴を探すのかと聞けば、ご主人は羽根を一本取り出します。
ご主人「これは、お鶴が残した羽根でございます。さる高名な法師様の見立てでは、これが皆様をお鶴の下へ導くであろうとのことでございます」
ご主人が手を離すと、ぼうっとひかり、羽根はふわりと浮かびます。
最後に、一行が羽根を追いかけるために店を出る時刻になります。店の者総出で見送りをします。その中で、先ほど見かけた中年女性(継母)が、太郎のことをしかと抱きしめ、辛くなったら帰るのよ、などなど、延々と話しかけます。そんな中年女性(継母)を、お繕は冷ややかに見つめます。
後でお繕にそのことを質そうとすると、彼女はとても不機嫌になります。不機嫌になりつつも、「太郎のお母さんよ」と答えはします。根はとても素直ですね。
始めは元気だったお繕は、やはり体力に劣る少女なのでしょう。だんだんとへばってきます。
お繕「(冷や汗を流しながら)だ、大丈夫だって言ってるでしょう」
太郎もお繕ほどではありませんが、かなりへたばっています。お繕は、へばってきた自分をさしおいて、太郎を叱責します。
お繕「ほら、太郎、もっとしゃきっとしなさい。早く行かないと羽根においてかれるわよ」
太郎「あ…ちょっと待って」
お繕「もう!ほら、太郎、しっかりなさい。貴方は『つるや』を背負って立つ長男でしょう。これぐらいで弱音を吐いてどうするの」
■ PCたちが助けようとしないならば、お繕はいいかげん歩いたところでけつまずき、それきり立てなくなります。どうやら足の筋肉が痙攣したようです。
焚き火を囲んでの夕食となって(二日目、三日目もそうですが、簡単でかまいませんから、材料はどうするとか、なにを作るとか、PLたちに軽く話題を振っといてください。秋の山ですから、材料には事欠かないでしょう。これだけで、シーンがぐっと印象深いものとなります)、子供たちはPCたちに話しかけます。
静かに虫が鳴き、梟がホウと鳴く中、ぱちりと、薪がはぜる音。一行の顔が、焚き火の灯りにこうこうと照らされています。
お繕「(独り言のように)…疲れた。後、何日歩けばお母さんに会えるんだろう。(ごしごしと目を擦り)さ、明日は早いし、もう、寝ようかな」
お繕は、疲れきったのでしょう。すうすうと静かに寝息を立てて寝ています。
太郎は、「えへへ…」と笑って、なかなか床に着こうとしません。暫くすると、太郎の方から、おずおずと話し出します。
太郎「ええと、ですね。みなさまのかあさまは、みなさまにとって、どのような方でしたか」
■ 何故そのようなことを聞くと訊ねれば、
太郎「僕、ねえさまが不憫でならなくて。僕にはかあさまがいるけど、ねえさまには本当のかあさまがいない。僕のかあさまは僕には優しいけれど、ねえさまには冷たいんです。だから…」
一通り会話をしたところで、太郎は寝床に着きます。
太郎「おやすみなさい!」
太郎が寝たところでPC間で会話をさせてください。
「…お母さん」お繕の寝言です。母の夢を見ているのでしょう。目にはうっすらと涙が浮かびます。
お繕「お母さん。行っちゃやだあ…」
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