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≪とどめの一撃≫は、他の即死系神業(神業の効果がダメージチャートの最上段に固定された神業。≪死の舞踏≫≪神の御言葉≫)と同じく、厳格な発動要件が明文化されています。ここら辺が、宣言するだけで発動する神業一般と大きく異なり、まさにそこが主な争点となっています。
では、以下で具体的に解釈してみましょう。
「<ファイアアーム>用の武器」とは、一般技能<ファイアアーム>によって判定可能な武器のことです。一般的には銃及び射撃という行動を必要とする武器(弓、砲撃兵器)を意味します。武器データで言えば、224頁の銃器から229頁までを指します。何処までが<ファイアアーム>によって判定可能かは、最終的にはRL裁量に委ねられることになります。
あまりここを問題にする人は見られませんが、実はこの一文の解釈には大きな問題がいくつか含まれています。
もっとも代表的なものは、弾切れでも良いかという問題です。
これがまだ、懐に替えの弾倉が残っていれば、弾を込める作業までを含めて≪とどめの一撃≫の効果として認めるRLも多いことでしょう。つまり、懐に替えの弾倉があれば、弾切れであっても「<ファイアアーム>用の武器」という要件を満たしたと解釈するわけです。これは、「神業の使用はすべての状況に優先」するという神業の第六テーゼ(以後、「神業最優先の原則」と呼称します)にも合致します。
問題は、替えの弾倉すらない場合です。
このような場合に≪とどめの一撃≫を認めることは、神業の効果に「キャラクターひとりの死亡」の他、≪売買≫判定を認めることにもなりかねません。そこで多くのRLは、このように替えの弾倉すらない場合には、通常≪とどめの一撃≫の発動を認めないことでしょう(根拠のない憶測)。
このような通常の見解に対し、私は≪とどめの一撃≫の発動を認めます。
根拠といっても、それほど明確なものではありませんが、敢えて言えば「その方が、かっこいいから」です。これは、神業ルールの趣旨、「キャラクターのスタイルを特徴づけるため」にも合致することだと思います。とどめのために、とっときのヤツをとっておくというのは、いかにも「カブトワリ」らしいことだと思うのです。
ここは完全にRL裁量に委ねられているところでしょう。
さて、問題はまだあります。次は武器が故障していても良いかという問題です。代表的なものは、故障判定において6以上のカードが出た場合です。ここで≪とどめの一撃≫の発動を認めることは、効果として修理判定まで認めることとなります。
この場合私は、「武器」と書いてあるだけで判定可能の有無を問いていないことを根拠に、≪とどめの一撃≫の発動を認めます。神業最優先の原則です。神業ルールの趣旨、「キャラクターのスタイルを特徴づけるため」にも合致すると考えます。どんな苦境も乗り越えるのが真のプロというものでしょう。
ただ、完全に「破壊」されている場合は発動は無理なのかなとは考えます。ここまでくると、さすがに「カブトワリ」らしいと言い切るには不自然と感じるからです。
なお、故障判定がされている最中に、割り込む形で≪とどめの一撃≫を宣言することは自由です。神業は宣言するだけで発動する以上、≪とどめの一撃≫は問題なくその効果を発揮します。
2.「カブトワリが持つ」ことの意味。
さて、2ndから[R]にルールが移行するにあたり、≪とどめの一撃≫においてもっとも弱体化をもたらしたのが、この一文の追加です。多くのカブトワリがこの一文の追加により、自らの手を汚さなくてはならなくなりました。もはやアドバイスで人は殺せなくなったのです。
…なに?「『その』カブトワリが持つ」とは書いていない以上、カブトワリのスタイルを持つキャラクターにアドバイスをする事は可能だって?確かに、そう言ううがった読み方もできなくはないがね、さすがにそいつは不自然だろう。普通の日本語としては、「『≪とどめの一撃≫を発動しようとしている』カブトワリが持つ」という意味でとらえるのが自然だね。そうじゃないか、boy?そんな感傷はさておき、この一文の追加により、新たな問題が生じることとなりました。
3.「狙える場所」については数多くの注釈が用意されています。一つ一つ検証してみましょう。
最も重要な注釈は、「対象がカブトワリと同じシーンに登場して」いること。逆に言えば、たとえ物理的に狙える位置にいたとしても、同じシーンに登場していなければ、≪とどめの一撃≫を発動させることはおよそ不可能であると言うことです。これはN◎VAシステムが映画的・演劇的演出を強く意識していることに起因します(ここの論証は、今後N◎VAシステム総論で取り扱う予定です)。
ここで同じシーンとは、登場判定に成功していることを意味します。
従って、舞台裏では≪とどめの一撃≫は使えません。
また、「距離や障害物など苦にもならない」という、素敵な注釈もついています。
従って、対象が500cmの鉄板に護られていても、地球の裏側にいたとしても、次の「対象の存在を認識」していれば問題なく≪とどめの一撃≫は発動します。
最後に、「対象の存在を認識」している必要があります。
具体的には、通常の攻撃判定をするに際し<知覚>や<霊感>や<霊感>、場合によっては<セキュリティ>や<トロン>との組み合わせ判定に成功していることを意味します。詳しくは、総合問題の章に譲ります。
それが機械であろうが意識体であろうが、関係はありません。スタイルを持っている限り、それがキャスト・ゲスト・トループである限り、「キャラクターひとり」に当たります。エキストラも同様です(といっても、彼らは神業を使わなくとも宣言するだけで死亡するのですが…リアクションでエクストラが護られる事を予見した場合の処理です)。いずれもキャラクターに当たります(123頁)。実際に「死亡」するかどうかの多くは、「狙える場所」の解釈に委ねられます(総合問題)。
ここで面白いのは、他の即死系神業と異なり、「トループならひとつ」という注釈が付いていないことです。
もちろん、神業ルールの趣旨、「キャラクターのスタイルを特徴づけるため」を強調し、「トループならひとつ」という類推解釈を行うことも可能でしょう。
しかし、他の即死系神業に比べ、≪とどめの一撃≫には「トループならひとつ」という一文が明らかに欠けています。このことを考えれば、むしろデザイナーは「カブトワリ」というスタイルには派手さを求めず、暗殺者なら暗殺者らしく、ただ一人のターゲットを殺すことこそスタイルの証であると考えているのかもしれません。
結果、「トループならひとつ」という類推解釈を認めず、「トループもひとり」と解釈するのが正しい解釈といえるのでしょう。
ただ、この点は説明の記述を決められた紙面内に収めるという編集当時の事情(立法者意思)があると聞き及びます。そこでこの編集当時の事情を考慮して「トループならひとつ」という類推解釈を行っても良いと思います。最終的には、RL裁量に委ねられます(私は「トループならひとつ」と解釈しています)。
では、「キャラクター」以外の、ロボットやヴィーグルなどは破壊できるのでしょうか?
「キャラクター」とは、擬人化された存在まで含むのでしょうか。類推解釈として、「キャラクター」に擬人化された存在のどこまでを含むことを認めて良いものでしょうか。
跳んでくる弾丸を叩き落としたり、つっこんでくるヴィーグルを爆発炎上させたり、ビルをロケットランチャー1発で吹っ飛ばすことが認められるかという問題です。
これは結局は、どこまでが「カブトワリ」らしいかというRLの裁量に委ねられることになります。神業ルールの趣旨、「キャラクターのスタイルを特徴づけるため」を何処まで認めるかという問題です。
私の場合、跳んでくる弾丸を叩き落としたり、つっこんでくるヴィーグルを爆発炎上させたりするところまでは認めますが、さすがにビルをロケットランチャー1発で吹っ飛ばすことまでは認めません。ビルの破壊は銃器を使った暗殺者のお仕事ではないのです。
なお、このような解釈から、私は≪とどめの一撃≫を演出次第では≪天変地異≫≪天罰≫の打ち消しに使うことを認めます。演出次第とは、≪天変地異≫≪天罰≫が「存在」を創造することを神業の効果とした場合です。
例えば、≪天変地異≫ならば津波を発生させた場合。津波は「現象」ですが、同時に水という「存在」です。「存在」を死亡させる形で≪天変地異≫を打ち消しすことも可能でしょう。
≪天罰≫であれば、人工衛星から打ち出したレーザー(「存在」)をたたき落とすことも可能です(なんてクライマックス!!)。
また、≪タイムリー≫≪買収≫を無力化することも可能です(但、≪タイムリー≫については、「創造」と「死亡」=「破壊」が矛盾すると考えれば、打ち消されることになります。RL裁量です)。
≪タイムリー≫の場合、その多くを無力化できることになるでしょう。なにせ≪タイムリー≫は、「タイムリーな装備を、造って持っていた」ことにすることを効果とした神業です。その「装備」を「死亡」させれば、≪タイムリー≫は無力化されます。
≪買収≫の場合、無力化されるのは場合によりけりです。≪買収≫したリムジンを「死亡」破壊させることは可能ですが、≪買収≫された会社を「死亡」させるには社会戦が必要です。これは暗殺者のお仕事ではありません。
最後に、≪脱出≫≪暴露≫≪電脳神≫については、打ち消しも無力化も叶いません。
これらは、機械やヴィークルなどを介して行使される神業ですが、神業同時適用の原則から、同時に効果が発揮されるだけです。
2.「死亡」の意味。
ダメージチャートの21番によれば、「死亡」とは、「完全なる死」だそうです(290頁)。「脳死」として、将来に希望を託すことすら認められません。
意識体を認識できれば可能と考えます。
意識体であってもスタイルがあればキャラクターです。十分暗殺は可能です。
肉体がない以上、「死亡」という肉体戦ダメージを喰らわないという抗弁も考えられますが、神業最優先の原則です。≪とどめの一撃≫の前には肉体戦が利かないという状況すら無視されます。
むしろ問題となるのが、「<ファイアアーム>用の武器」「狙える場所」の二点でしょう。
「<ファイアアーム>用の武器」は魔剣化されている必要があるのでしょうか。
私は不要と考えます。ここはやはり神業最優先の原則から、≪とどめの一撃≫の前には魔剣化されていなければ肉体戦ダメージが利かないという状況すら無視されると考える方が無難だからです。
この私の解釈に対し、意識体の暗殺は「カブトワリ」のお仕事ではないという反論も考えられます。この場合、武器の魔剣化は意識体に≪とどめの一撃≫を使用するための前提条件となります。
しかし、右の解釈では、今度は意識体が肉体を持ったときは暗殺可能という結論に達することとなります。右の解釈は、人間ではない者の暗殺一切を否定する解釈だからです。それは逆にN◎VAの世界を否定するかのような解釈にも見受けられます。自由なN◎VAの世界においては、人間であるか否かは重要ではありません。そうだとすれば、魔剣化されているか否か、意識体であるか否かもまた、そんなに重要なことではないのです。
以上から、魔剣化は意識体に≪とどめの一撃≫を使用するための前提条件とはならないと考えます。
それよりも問題となるのが、意識体が「狙える場所」にいるかどうかです。
「同じシーン」に登場していれば、意識体がアストラル界にいるかどうかは問題ではありません。アストラル界も現実世界と同じシーンです。もちろん、ここでアストラル界に逃げることをもって退場と扱う場合は、アストラル界は違うシーンになります(退場する瞬間に≪とどめの一撃≫をぶち込めば、その意識体は問題なく「死亡」します)。
もちろん、「距離や障害物など苦にもな」りません。
問題は、「対象の存在を認識」しているかどうかです。
その意識体がアストラル界にいて、その存在が現実世界から認識不能な場合には、事前に<霊感><霊覚>に成功している必要があります。あるいは、≪タイムリー≫≪真実≫≪天罰≫なども考えられるでしょう。
2.カメラ越し、電話越しの暗殺は可能か?
まず、カメラ越し、電話越しでも、「同じシーン」に登場していることが必要です。
カメラ越しの場合、「対象の存在」は問題なく認識可能です(ここで<セキュリティ>+<トロン>の組み合わせ判定にあらかじめ成功している必要があるわけです)。後は、武器で狙える位置にいれば問題ありません。建物の外から、一番奥まった部屋にいるキャラクターを暗殺することも可能というわけです。
もちろん、ここで建物の外から、一番奥まった部屋にいるキャラクターを暗殺することはさすがに不自然だと考えれば、RL裁量で却下することも可能でしょう。これは「狙える位置」にも限界があるという解釈です。要は、何処までが「カブトワリ」らしいかという問題です。このような解釈をする場合、<セキュリティ>+<トロン>の組み合わせ判定に成功して、対象がいる部屋か、その近くの部屋の武装をあらかじ乗っ取っている必要があります(「カブトワリが持つ」「狙える位置」)。
私の解釈は、「距離や障害物など苦にもならない」という注釈を最大限に重視した結果です。
電話越しの場合は、「対象の存在」の認識について若干問題となります。
電話越しでは大まかな位置しか把握できないからです。何処までの特定を持って「対象の存在を認識」したと言えるかは、完全なるRL裁量に委ねられます(実を言えば、これはカメラ越しの場合も問題となるわけだが…)。部屋の特定を持って「対象の存在を認識」したと言えるか、それよりももう少し具体的な位置を要求するのか、ここは完全にRL裁量に委ねる他ないでしょう。
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