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第一に、本シナリオのモチーフが『鶴の恩返し』であること。GMは、昔話特有の、静かでシンプルな、それでいて力強い演出を心がけてください。昔話に無駄な演出はありません。語られる以上、それには何らかの意味があります。だからこそ、理不尽なまでの不思議が光るというものです。
第二に、本シナリオのテーマが“母と娘”であるということ。ポイントは、「何故、お母さんは出ていったのか」「お母さんは私のことを愛しているのか」です。その上で、お繕は、母の死が近いのを直感的に悟っています。母の下へ無理にでも急ごうとするお繕を演出してください。
ただし、ここで気を付けるべきことがあります。ドラマとは、作るものではなく、産まれるものであるということです。もちろん意識することも必要ですが、あまりテーマにこだわりすぎることも考え物です。お繕をごくごく自然に演出してください。ドラマは自然に生じるでしょう。
大切なことは、お繕がこの旅で何を学び、何を考えたかです。
「何故、お母さんは出ていったのか」「お母さんは私のことを愛しているのか」
お繕は右の問いかけに対する答えを求めています。GMは、各自の判断で、右問いかけをなすタイミングを調整してください。シーン7、10、12のうちで、お繕とPCとの距離が縮まったときが最適でしょう。これは同時に、PCたちにとって、母親とはいかなるものか、考えるシーンでもあります。
第三に、母が与えた試練です。本シナリオのイベントは全て母の試練を象徴しています。試練と思って突き放すべきか、まだ幼い子供と見て保護するか、PCたちに選択させてください。
第四に、お鶴の死が意味するところです。お鶴は、『つるや』のご主人に幸運をもたらした魔法そのものです。お鶴が死ねば、魔法は解ける。お繕というご主人が授かった魔法も、解けてしまいます。ですが、お繕も一人の人間です。お繕が望む限り、人であり続けるでしょう。後は、PCたちがどれだけお繕に希望という名の新たな魔法を持たせられるかにかかっています。
参考文献
(必読)
小澤俊夫著
「昔話のコスモロジー ひとと動物の婚姻譚」講談社学術文庫
(参考)
浅見 徹著
「玉手箱と打ち出の小槌 昔話の古層を探る」中央新書
桜井徳太郎著
「昔話の民俗学」講談社学術文庫
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