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この時点で、次々に登場人物の設定が固まってきました。
「まずは、王子様。とはいえ、この人はシナリオを解く力にはなり得ないな。『人魚姫』って、視点を変えれば、女の戦いだもんな」
「そうなると、お姫様と人魚との設定も自然に決まってくるな。両者は両極端なキャラにすべきだろう。人魚がおとなしいのは当然だから、お姫様は活発でないとな。活発だったら、ついでにヴァリキリーということにしてしまおう。お話は北欧民話にも重なっているんだから、そんなに不自然ではないはずだ。もちろん人魚はしゃべれない、と」
「それから、魔女だよな。まあ、普通は極悪非道なキャラになるんだろうけど、何せ俺には秘策があるからねえ。ただの悪役じゃあない。魔女がやる悪いことは、王子様とお姫様とを殺せとそそのかすことだけにしよう。童話では、本当は人魚のお姉さんたちがそそのかしたんだけど、悪役に仕立てるためだ、仕方が無いこれぐらいの汚名はかぶって貰おう。というよりも、これを思いつけなければシナリオにならなかったし」
何を思いついたかといえば、簡単です。魔女が何故、王子様とお姫様とを殺そうとしたか、その動機です。
聖痕を楽して頂戴しようということです。結局、このシナリオは、この点を思いついた時点で、９９％完成していました。後は、微調整のみです。なお、他のシステムにコンバートする場合は、海妖精らしく、魔女は魂を壺の中に閉じこめるのが趣味であるという設定にすると良いでしょう。
「続けて、人魚のお姉さん。彼女にはシナリオの導入と情報提供を担当して貰おう」
「それから最後に、フェアリードクターがいた方がよいだろう。妖精譚なんて普通みんな知らないもんな。こいつも情報提供担当だな」
次に考えたのは、シナリオの障害です。
「さて、シナリオの障害として考えられるものは、当然、人魚の意固地さだけど、それだけじゃあ、つまらない。っていうか、そんな話、俺はファンタジーとして認めんぞ。ここは、契約を持ち出そう。契約はすでに履行されているから、当然、魔女をぶちのめしただけでは人魚に声は戻らないし、泡となって消えてしまう運命からも逃れられない。契約を無効などにできないとどうしようもない…と。ふふ、PLたちのあっと驚く姿が思い浮かぶなあ。やはり、この理不尽さこそ、ファンタジーの醍醐味だ。妖精契約ってヤツだね」
実際、このPLたちのあっと驚く姿が見たくて、本シナリオを作ったようなものです。
「つうことで、契約書があることにしよう。これで、情報源を確保できたし、同時に、シナリオを解く最大の鍵となってくれるな。じゃあ、こいつはこうしてこうして…と、よし、一見穴のない契約書の完成と。本当は穴だらけだけど（笑）」
「おっといけない。もう一つ、人魚が王子様とお姫様とを殺すという情報源が確保できていないな。フェアリードクターから聞く人魚姫の伝説だけじゃあ心許ない。…しゃあない。少し安直だけど、日記を出すか。それと、短剣」
「結局、人魚は文字が書けることになるのね。ついでだ、恋文もつけとけ！」
実を言えば、ここが一番悩んだ部分です。本当は中世騎士道物語のお約束に乗っ取って、読み書きはできないことにしたかったのですが、それでは、人魚アナスタシアとのコミニケーションで障害をきたしかねません。結局、もっとも安易な方法に頼ることになりました。
しかし、実際にプレイしてみると面白いものです。みなさん、結構気が付いてくれているようです。やはり、死神の笑みと言われれば、ピンとくるようです。
最後に、シナリオの舞台となるカーライル城の設定と（というほど大したことはありませんが）、シナリオの導入を考えて、シナリオは完成しました。導入は、「人魚姫」をほぼ忠実になぞった結果です。
ここで面白かったのは、クレアとの因縁を持ったPCでした。シナリオを作った当初は、もっともシナリオに絡みにくいのではと危惧したものですが、実際にプレイしてみると、最も重要なポストを担っていました。やはり、私のシナリオは展開が見えやすい分、話を引っかき回し易いようです。で、クレアと因縁を持っていると、もっとも引っかき回しやすい立場にあると（笑）。個人的には、そうしてくれた方が、GMが楽してセッションが盛り上がるため、願ったり叶ったりだったりします。
ちなみに、エンディングについては、大して考えていませんでした。
結構なるようになるものだからです。セッションさえ盛り上がってくれれば、エンディングなんて、自然に筋が決まるだろうし、うまくいけば、PLたちが勝手に演出してくれるからです。
どうでも良いことですが、私がシナリオで一番力を入れたところが、リーンの台詞とヴィヴィアンの台詞です。妖精譚は斯くあるべしという感じで、台詞を書いていました。特にヴィヴィアンの台詞は書いていて楽しかったです。
ヴィヴィアン、愛しているよ〜〜〜（爆）！！
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