テーマタロットエグゼク
正位置:幸運と発展、成功、運命的な出来事や出会い
逆位置:不運、転落、事業の失敗、秩序の崩壊
エグゼクの足下の地球は、彼たちが地球を文字通り支配していることを意味している。
TOKYO N◎VA The Detonation
極貧のロシアを食い物にしようとする輩がいる。
弱肉強食の資本主義。ルールを忘れ、仁義を忘れ、利潤を貪る輩がいる。
――大陸最大手の物流会社・黒竜江物流公司とロシア国策会社・アゼルバイジャン石油公社とを舞台にした巨額詐欺事件
「企業利益と遵法義務との板挟み、ホント嫌になりますね」
N◎VA上空にばらまかれる紙幣を仰ぎ見るとき、運命の輪が回り始める。
アクトタイトル「ミリオンネール」
イントロダクション
がたん……がたん……。列車の振動音。貴方はいま、ロシア大陸鉄道に揺られ、モスクワゴエルロへの旅の途中。のんびりとした観光客か、新たな観光スポットを開発中のビジネスマンかのように見えるだろう。だが、違う。貴方はN◎VA税関の検査員だ。税関をすり抜ける武器の密輸ルートを追いかけ、ロシアを大陸鉄道で旅行中。流通経路を把握し、黒幕を逮捕すること。それが貴方の職務だ。のんびりと窓の外を眺めているように見えて貴方は忙しい。列車ルートから物流の流れを算定し、すれ違う列車から物流量を推測し、流出元である軍事基地の場所を憶測する。
思い出されるのは税関就任の初日、貴方を検査員に推薦した千早怜呀の訓戒だった。
「資本主義にとって一番重要なこと。それは公正なルールだ。公正なルールこそが企業活動を活性化させる。風紀は誰かが正さねばならない」
「公正なルールを運営するには鋼の意思を持った公明正大な審判が必要だ」
「それこそが我々セニットの存在意義だ」
「君には一企業の利益ではなく、市場全体の利益を、システムそのものを護るために仕事をしてほしい」
仕事に疲れ、通路の向かい側を見やるとビジネスマン風の女性(エグゼク◎)が座っていた。女性は手の中でイコンを撫でながら、風景を懐かしそうな表情で眺めている。確か、江小蓮と名乗っていた。女性は貴方の視線に気づき、軽く会釈をする。
「もう、外を眺めるのにも飽きましたか? 同じような風景ばかりでしょう……これが、ロシアという国なんですよ」
「ご旅行ですか? 私は、モスクワまで。ビジネスですよ。仕事がてら旅行しています」
ハンドアウト
このアクトでは以下のハンドアウトを使用します。小人数でプレイする場合のハンドアウトの取捨選択については、原則として後ろのハンドアウトを使用しないことになりますが、詳細はRLに問い合わせてください。
各ハンドアウトには以下の情報が含まれています。
・想定されるキャラクターのイメージ
・そのハンドアウトで渡されるアクトコネ
・ハンドアウトの導入イメージ
各プレイヤーはハンドアウトの内容を理解した上でキャラクターの選択を行ってください。
キャスト1 エグゼク推奨。事業再建
〈コネ:江小蓮〉 社長付き秘書
ロシアと夏との国境線黒竜江(アムール川)を拠点に大陸全土に広大な輸送網を形成する物流会社・黒竜江物流公司。大陸最大の物流会社が巨額詐欺事件によって手形不渡りを出した。折しも、ユダヤ資本がモスクワゴロルエからの資本引き上げを決定した直後で、公司がロシア物流を業務の中核に据えていただけにその打撃は計り知れない。N◎VAセニットを始め複数の行政府からの業務改善命令。経営陣は全員引責辞任。電話が掛かってくる。投資家仲間である前CEOエレアザルからの直々の指名。これは、一世一代のチャンスじゃないのか?
キャスト2 警察系またはバウンティハンター
〈コネ:“ミリオンネール”〉 仇敵
“ミリオンネール”とはロシア語で百万長者。バーブチカとも繋がりが噂されるロシアの大富豪。数十件に及ぶ国際的組織犯罪・詐欺事件に関わっていると目され、国際指名手配中の超大物だ。貴方は“ミリオンネール”を追いつめる専属の捜査官。貴方の地道な捜査が結実し、ついに奴を追いつめることに成功した。夏との国境近くにある避暑地。湖の湖畔にある別荘を先日買い取ったという確たる証拠を掴んだ。だが、奴の方が一枚上手だった。
キャスト3 犯罪結社構成員幹部候補生
〈コネ:ツァーリ〉 バーブチカの友人
“最後のヴォール”ツァーリ。その名に相応しいバーブチカの偉大な大親分。礼節に優れ、思慮深く、公正で賢明な大人物だ。バーブチカの奴らは気にくわないが、このオヤジだけは別だ。
貴方には尊敬できる兄貴分(エキストラ)がいた。兄貴は新しい組を新天地ST☆Rに立ち上げるのだと言ってN◎VAを離れた。それから幾瀬。兄貴から手紙が来た。新天地で地盤を築き、組の運営は堅調だという。組も大きくなり、これからより困難な事態に立ち向かわねばならないだろうことが予測される。だから、貴方の力を借りたいという手紙だった。貴方はもちろん喜び勇んで新天地に向かった。貴方が兄貴の暗殺を聞いたのは新天地の上空だった。
キャスト4 クグツ推奨。N◎VAセニット職員(企業からの出向)
〈コネ:江小蓮〉 列車の乗客
貴方は千早怜呀の推薦を受け、現在N◎VAセニットの職員を務めている。一企業の利益ではなく、市場全体の利益、システムそのものを護る。公正なルールの実施こそ資本主義の生命線。それが怜呀の訓戒だった。企業利益よりも優先すべき教え。いままで企業利益第一で仕事をしてきた貴方にとって、それはとても新鮮な言葉だった。税関検査官としてロシアからの大量の武器密輸の足取りを追い、貴方は現在、大陸鉄道に揺られていた。通路を挟んだ席には外を眺める女性。彼女の名は、江小蓮。
キャスト5 北米連合諜報員
〈コネ:リディア・アドロナ・ブラゴヴォリヤ〉 同志
貴方は北米連合の諜報員として働くエリート官僚だ。諜報員に必要なのは卓越した知識と技術。そしてなによりも孤独に耐える絶対の忍耐力。貴方に対ロシア諜報の指令が下る。祖国への敵対を憚らないロシア連邦諮問総会最大野党“ロシア愛国党”党首“愛国者”アレクセイ。今度の議員選挙では“ロシア愛国党”が絶対多数を獲得、アレクセイを閣僚会議議長に任命することが確実視されている。大変危険な状況だ。モスクワに飛び、現地の同志“紙幣使い”リディアと共闘してアレクセイの議長就任妨害工作を図れという命令だった。
重要ゲスト
◆“愛国者”アレクセイ・ロマノヴィチ・スタニスラコフ
カリスマ◎
元ロシア陸軍第八方面軍軍団長中将。チェチェン内乱の英雄。ロシア愛国党党首。クリーンなイメージの政治家。政策は汎ロシア経済圏構想。
◆“ユダヤ資本”エレアザル・ラビノウィッツ
ハイランダー◎
銀行、保険会社、物流会社、レジャー産業、メディア産業など複数の企業とコネクションを持つイスラエルの名士。“ユダヤ資本”と揶揄される典型的なユダヤ商人。軌道フェスラー家やロシアの富豪“ミリオンネール”など、友人も多い。黒竜江物流公司の前CEO。
◆“クレッドクリス”シャミル・アリアーシュ
マネキン◎
褐色のチャーミングな少女。翠眼のジャムシード人。バーブチカ“我らが大地”に所属する一輪の華(ツヴィトーク)。
◆“鋼の錬金術師”江小蓮(ジャン・シャオリェン)
エグゼク◎
愛称はシャオ。ロシア人とチャイニーズとのハーフ。黒竜江物流公司秘書室室長で情報操作のプロ。投資家としても有名で、冷徹堅固な市場分析と断固迅速たる意思決定、なによりもその輝かしい成功から“鋼の錬金術師”と呼ばれる。ロシア本国で貧困に喘いだ幼少時代を過ごした苦労人。
◆“ミリオンネール”
レッガー◎
“ミリオンネール”とはロシア語で百万長者。バーブチカとも繋がりがあると噂されるロシアの大富豪。数十件に及ぶ国際的組織犯罪・詐欺事件に関わっていると目される。
◆“紙幣使い”リディア・アドロナ・ブラゴヴォリヤ
クグツ◎
ロシア系ユダヤ人。ユダヤ商人の娘。大ロシア中央図書館所属司書。北米連合に金で雇われた諜報員。
◆“最後のヴォール”ツァーリ
レッガー◎
バーブチカ“幻蝶”ヴォール。皇帝(ツァーリ)の名を贈られたバーブチカ最期の良心。
経済用語説明
◆黒竜江物流公司巨額詐欺事件
黒竜江物流公司とアゼルバイジャン石油公団とを舞台にした巨額詐欺事件。ロシアに生活物資を安く届ける慈善事業を引き受ける代わりに、公司が石油販売を独占するという契約を結んでいた。公団からの支払いは新ルーブルではなく信用が高い豪ドル。新ルーブルと豪ドルとの交換は取引会社のモスクワ=サンクトペテルブルグ連合銀行を利用している。何度か取引をして信用を取り付け多大な物資発注の直後、支払いがないまま物資をすべて持ち去られた。
◆アゼルバイジャン石油公団
ロシアの国策会社。黒竜江物流公司の取引相手。黒竜江物流公司巨額詐欺事件の舞台となった。
◆黒竜江物流公司
ロシアと夏との国境境黒竜江(アムール川)を拠点とする大陸最大の物流会社。名前から中華系資本と誤解されがちだが日系企業。巨額損失計上により前CEOエレアザルは辞任、会社再建のために現在キャスト1が新CEOに就任している。
◆汎ロシア経済圏構想
アレクセイが唱える保護政策。腐敗の原因となり易い企業誘致を極力排除し、大陸中央部に汎ロシア経済圏を構築する。軍需拡大と経済の適正化(バーブチカの追い出し)とを目指す。
◆モスクワ=サンクトペテルブルグ連合銀行
ロシアの老舗銀行。表向きはロシア資本だが、災厄直後の経済危機で日系資本の資金提供を受け、未だその影響から脱し切れていない。黒竜江物流公司巨額詐欺事件の舞台となった。
◆ロシア陸軍第八方面軍
モスクワゴエルロ近郊に駐屯基地を構えるモスクワ警護の要。先代軍団長はロシア愛国党党首アレクセイ。
犯罪用語説明
◆アクトリチュート
ロシアマフィアの親分の呼称。自称にすぎす、称号としてはヴォールに劣る。
◆ヴォール
ロシアマフィアの大親分の呼称。自称にすぎないアクトリチュートと異なり、ヴォールとは自他共に認められた真に偉大な大親分を意味する。名を捨て、親族との縁を切り、配偶者を娶らず、入れ墨を施し、国家におもねらず、仕事仲間を密告せず、子分とその家族との生活を保障する。
◆“幻蝶(パピヨン・ファンタズマ)”
バーブチカのひとつ。伝統的なロシアマフィア。国家と手を組むことを嫌い、“我らが大地”と抗争をしている。
◆“我らが大地”
バーブチカのひとつ。チェチェンマフィア。国家中枢と手を組み、大規模な攻勢を行っている。バーブチカの覇権を“幻蝶”と競っている。
TOKYO N◎VA The Detonation and all of its sapriments
(Grand X The Datonation, Countergrow, Straylight, Every other monthly Gamers Field)
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